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■  コンと村おこし  第10話「ポン先輩!」                ■
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 さて、コンと村おこしなのじゃ。
 美貌のわらわのセクシーターンを楽しむがよい……
 と、言いたいものじゃが、今日はおそば屋さんからスタートなのじゃ。
 ツルツルのざるそばはうまいウマイ。
 配達帰りに長老に呼び止められたが、
「ここのそばはいつもうまいのう」
 わらわの隣ではポンが食っておる。
「コンちゃん本当においしそうだね」
「うむ、本当にウマウマなのじゃ」
 最近は村にもいろいろ店が出来たが……
 長老のおそばは飽きのこぬ味なのじゃ!
 あの長老、飲んだくれに見えるが、なかなかの腕前かの。
 今も奥でダラダラ飲んでおる。
 おそばを終わったら、今度は一杯なのじゃ。
 今日の配達はラッキーじゃの。
「コン姉、コン姉……」
「なんじゃ、ポン太」
 うむ、長老はさっきから奥におる。
 おそばを持ってきてくれたの、実はポン太じゃ。
「コン姉、新酒があるんですけど……」
「おお、新酒か、出すのじゃ!」
 こやつの作る「ポン太のお酒」はなかなかなのじゃ。
 真面目なヤツではあるが、それがいいのかも知らん。
 ポン太、5合瓶を持ってじっと見ておるぞ。
「早く注がぬか」
「デートしてくれますか?」
「はぁ!」
「お酒注いだら、デートしてくれますか?」
「ぽ、ポン太、おぬし、お酒をダシにわらわとそんな事をしたいのかの?」
「だってコン姉全然相手にしてくれないし、逃げるし」
「なんじゃとー!」
「逃げるし」
「うう……」
 ポン太め、全然注ぐ気ないようじゃ。
「お酒を出すのじゃ!」
 酒瓶取ろうと……逃げよる。
「渡さぬかっ!」
 酒瓶を取ろうと……ひょいと避けよる。
「ポン太、おぬしわらわの事が好きなのであろうがっ!」
「デートしてくれますか?」
「この卑怯者っ!」
「デートして」
 くく……この男はっ!
 子供こどもと思っておったが、わらわの好物をダシにしおって卑怯者!
 ふふ、しかし所詮子供なのじゃ。
「クスン、ポン太なんか好かんのじゃ」
 ふふ、女の武器「女の涙」なのじゃ。
 ほれほれ、女を泣かせてよいものかの。
 どうかのどうかの、わらわ、ポン太を嫌いになっちゃうのじゃ。
 ポン太堪えられるかの?
「しょうがないですね」
 ポン太、あきれ顔で酒瓶を置いたぞ。
 即ゲットなのじゃ。
「わはは、いただいてしまえばこっちのものなのじゃ」
「まったくコン姉は……」
「ポン太、好きじゃぞ、おぬしのお酒が」
 わらわ、5合瓶を抱いてウキウキなのじゃ。
「で、コンちゃん、デートしてあげるの?」
「何を言っておるのじゃ、ポン、何故わらわがデートなのじゃ」
「だってお酒もらったよね」
「もらったのじゃ」
「だったらデートでは?」
「何故?」
「約束しませんでした?」
「わらわが泣いたらポン太が折れたのじゃ」
「悪女〜」
「ふふ、女キツネなのじゃ、いいのじゃ」
 ポン太、怒っておるかの?
 むむ、冷めた目でこっちを見ておる。
「ポン太、どうしたのかの」
「コン姉にこれだけは……って思っていたけど……」
「は?」
 い、一冊のノートなのじゃ。
 あれは名前を書いたら死ぬノートなんかではないのじゃ。
 恐怖の「ツケ・ノート」なのじゃ!
「コン姉、ツケがたまっていますね」
「そそそそんなの知らんのじゃ!」
「たまってますね」
「そのノートを渡すのじゃっ!」
 わらわが手を伸ばせば、ポン太ひょいと避けよる。
「ポン太はわらわをツケでおどすのかの!」
「デート……」
「そのノートでわらわを『モノ』にしようとするのかの! クスン!」
 むむ「クスン」が効かぬ。
 もうポン太に読まれておるようじゃの。
 こうなったらしらばっくれて……
「ミコ姉に電話するかな……」
「まてーっ!」
「コン姉うるさいですよ? デート?」
「ここここの卑怯仔タヌキめ」
「お酒まきあげて卑怯言うかなぁ〜」
「わらわは神ぞ神!」
「神さまがだますかなぁ」
「わらわ女キツネだから何でもありなのじゃ!」
「ミコ姉に電話しよっかな」
「待てーっ!」
 わらわ、受話器を押さえて、
「むー! 何故そんないじわるするのじゃ!」
「何でお酒だまし取るんですか〜」
「何が目的なのじゃ」
「デートして」
「卑怯者ー!」
「どっちが」
 ポン太、余裕の顔をしておる。
 く、くやしいのじゃ。
 でも、あのノートが、ツケがバレたら、ミコが怒るっ!
 なんとかせねばならんのじゃ。
「デートしてあげたら? お散歩するだけだよ」
 ポンめ、言いおる。
 わらわはそんな安い女ではないのじゃ。
「!」
 わらわ、頭上に裸電球点灯なのじゃ。
「ポン先輩助けて!」
「は?」
「わらわ、あの仔タヌキ・ポン太に貞操の危機なのじゃ」
「やられちゃえばいいのに」
「ポン先輩助けてっ!」
 ふふ、ポンには「ポン先輩」なのじゃ。
 口では悪い事言っておるが、「先輩」聞くたびにしっぽがピクピクしておる。
「ポン先輩、助けてっ!」
「しょうがないなぁ〜」
 単純なヤツめ、まったくこれだからポンはかわいいのじゃ。
「これ、ポン太!」
「な、なんです、コン姉」
「わらわをモノにしたいのであれば、まずはこのポン先輩を倒すのじゃ」
「え!」
「おぬしがポン先輩を倒す事ができれば、わらわ、おぬしとデートするのじゃ」
「やっ……」
 ポン太、言いかけて止まりおったぞ。
 ポンが指をポキポキ鳴らしながら、
「ポン太、最近わたしの事、バカにしてない?」
 なんだかポンの背後に暗黒オーラなのじゃ。
 別に酒を飲ませたりしておらんがの。
「最初会った時はちゃんとしてたのに、最近わたしを見ると小バカにしてない?」
「そ、そんな事は……」
「いーや、絶対バカにしてる、許せない」
 な、なんだかポン、こわい。
 敵じゃがここはポン太にテレパシーじゃ。
『これ、ポン太!』
『うわ、何、頭の中で声っ!』
『テレパシーなのじゃ、早く戦うのじゃ』
『え? え! ええ?!』
『何故か知らぬが、ポンは本気なのじゃ!』
『えーっ!』
 ポンの魔手がポン太に接近。
 ポン太も印を結んでニンジャ姿に変身なのじゃ。
 すぐにポン太の手から手裏剣発射。
 でも、ポン、ササッと避けよる。
「わたしをバカにするなーっ!」
「うわっ!」
 おお、ポンがポン太を捕まえおった。
 押し倒して、足をつかまえて……
「ふふふ、脚を開けーっ!」
「ポン姉こわいっ!」
「さっさと開けーっ!」
「いいい嫌ーっ!」
「わたしをバカにした罰ですよ、ふふふ……脚を開くんです」
 ポン、なんだかいやらしいのじゃ。
 ポン太おびえておるでないか。
 うわ、なんか無理やり脚を開かせておる。
 抵抗するポン太。
 邪悪な笑みのポン。
 開かれたポン太の脚にポンのつま先が入っていくのじゃ。
illustration やまさきこうじ
「電気アンマーっ!」
「ふぎゃ!」
「どうだー!」
「うわーん!」
「ど・う・だっ!」
「死ぬーっ!」
「逝ってしまえーっ!」
 ああ、ポンの土ふまずがポン太の股間をコツコツしておる。
 ポン太身悶えして体をねじってのたうって……なんだかいやらしいのじゃ。
 わらわ、ちょっとドキドキしてきたかの。
 こ、これからどうなってしまうかの。
 ポン太の泣き顔にキュンキュンなのじゃ。
 い、いかん、漢らしいポンを見ると耳まで熱い。
 あ、ポン太昇天かの。
 ポンはまだ止めておらんのじゃ。
 ポン太の男が終わってしまわんかの、あんなにコツコツしたら。
 しかしわらわ、近付きたくないのじゃ。
 なんだか巻き込まれたらやられてしまいそうなのじゃ。
 お!
 奥から長老の登場じゃ。
 持っておる一升瓶でポンの頭を「ゴン」
 ドキドキの惨事、終了なのじゃ。 

 ポン、こわい……でも、ちょっとドキドキなのじゃ。


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