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■  ポンと村おこし  第133.5話「落ち葉焚き」             ■
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 観光バスも行っちゃいましたよ。
 神社の人も大分減りました。
 おみくじコーナーの前から人はいなくなったんです。
「ねぇ、たまおちゃん、わたしはもういい?」
「お客さん減ったから……」
 たまおちゃん、境内を見回して、
「まだレッドの前にはお客さんたくさんいるけど……ポンちゃんはいいか」
「わたしはなにをしたらいい?」
「じゃあ、お掃除、おねがい」
「はーい」
 レッドやみどり、千代ちゃんはお父さんと一緒に頑張ってます。
 そんなみんなを見ていると、わたしだけなにもしないのはちょっとね。
 社務所を飛び出して、境内をほうきではわくんです。
 さっきまでお客さんでいっぱいだったから、ごみがいっぱい……
 ごみ……
 ないですね……
 落ち葉が多いですね!
 ともかく落ち葉を集めるんです。
 ほうきで「ザッザッ」って集めるの。
 池のヌシも浮上してきました。
 わたしをじっと見つめて、
「オソウジ?」
「そーです、お掃除です」
 ヌシ、池の縁一杯いっぱいに近付いて来て、わたしを見ています。
「どうしました?」
「オソウジダケ?」
「はぁ?」
 わたし、さっきから落ち葉を集めるのにテンション上がってて、それ以外思い付きません。
「そうですよ、葉っぱを集めてるんです」
「ドシテ?」
「どうしてもなにも……」
 掃除しろと言われたからそれだけの事で……
「たまおちゃんはどうしてるんですか?」
「タマオ、オチバデヤキイモ」
「!」
 なるほど、山のように落ち葉あります。
 これで焼き芋、おいしそう。
「でも、お芋がないです」
 って、わたしの言葉にヌシは目配せ。
 池のほとりに小屋があります。
 中を見れば……ありました、お芋。
 アルミホイルもあります。
 わたし、お芋を包んで袖に隠してヌシの所に戻ります。
『ねぇねぇ』
『ナンデスカ?』
『なんでわたしに教えてくれたの?』
『オスソワケ』
『ふふ、焼き芋ならわたしでもできます、おまかせですよ』
 こころなしか、ヌシの目も微笑んでるみたい。
 山のような落ち葉にお芋を埋めて着火。
 あとは「いいニオイ」になるまで焼くだけなんです。

 レッドとみどりがやって来ます。
 ドラ焼きをヌシにあげながら、二人してなにか話していますね。
 それからわたしの方を見て、やって来ました。
「ポンねぇ〜」
「レッド、どうしました?」
「においます〜」
「!」
 みどりもクンクンしながら、
「ちょっとアンタ、感じないの!」
「え? なにが?」
 わたし、目が泳ぎまくり。
 そうでした、レッドとみどりはわたしと同類。
 クンクンすれば嗅覚は獣級なんです。
 レッドとみどり、クンクンして、落ち葉焚きをガン見。
「おいしそうなにおいしますー」
「そうね、美味しそうなニオイがするわね」
 って、二人の視線がわたしに向けられるの。
 わたし……目を逸らすんです。
 って、二人はわたしの前に立って、じっと見つめるの。
 なんだか責めるような目で。
「な、なんですかっ!」
「ポンねぇ、なにかかくしてるゆえ!」
「ちょっと、何を焼いているのよ!」
「葉っぱ」
「うそつきゆえー!」
「何を焼いているのよっ!」
「葉っぱ」
illustration やまさきこうじ
 レッドとみどり、わたしを揺すりまくるの。
 ああ、もう、せっかくの焼いも、食べる分減っちゃいました。
 どうして子供って、こんな時のカン、鋭いんでしょうね。



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HP:やまさきさん家のがらくた箱
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