■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ■ ポンと村おこし 第143.5話「ポン吉の家出改」 ■ ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ レッドが嬉しそうに帰って来ます。 ポン吉と一緒なんですよ。 「ただいま〜!」 「来てやったぜ!」 わたし、ジト目でポン吉を見るんです。 ポン吉はニコニコ笑ってスルーですね。 「ほら、レッド、おやつするから、手を洗って来るんですよ」 「は〜い」 って、レッドは行っちゃいました。 さて、ポン吉とわたしだけになりましたよ。 「ねぇねぇ、レッドをダシに来たんだよね」 「だぜ」 「だぜ……じゃないでしょー!」 「なんだよ、オレが来たらダメなのかよ!」 「ダメってわけじゃないけど……」 「なんだよ」 「面倒くさそう」 「ポン姉の方がずっと面倒くさいじゃねーかっ!」 ふふ、言いましたね。 わたし、瞬時にポン吉のしっぽをつかんで「しっぽブラーンの刑」執行するの。 「どうだー!」 「ギャー! しっぽちぎれるーっ!」 「死ねしねーっ!」 ポン吉涙目でわたしをにらんでいるの。 「なんだよ、ポン姉のバカ」 「だってポン吉が来るとおやつのプリンが食べれないかもー!」 「え、それでオレを折檻したの?」 「うふふ、もっとやってほしい?」 「うえ……」 ポン吉、ジト目でわたしを見ながら、 「この間、家出したらミコ姉が怒ってたろ」 「ですね」 「だから、家出はしない事にしたんだ」 「いい心がけです」 「でも、ここにお泊りに来る事にしたんだ」 「な、なぜ?」 「アニキがうるせーんだよ、勉強しろしろって」 ポン吉、学校で寝て遊んで食べてばっかりなんだから、きっとポン太の言う通り勉強した方がいいですよ。 「だからたまに家出して、オレのありがたみをわからせるんだっ!」 「ポン吉、家でなにかやってるの?」 「ごはんを食べて、テレビを見て、お風呂に入って、そして寝る」 「えっと、洗い物をやったり、洗濯物をたたんだりしないの?」 「洗い物はばあちゃんがやってくれるぜ」 「……」 「洗濯物をとりこむのは、アニキがやってくれるぜ」 「じゃぁ、ポン太はほかになにをやってます?」 「うーん、ごはん作ったり、ごはんの後片付けやったり」 「ポン吉、なにか手伝おうとか思わないんです?」 「え? だってアニキがやってくれるし、ばあちゃんもやってくれるぜ」 「……」 「オレ、手を出すところないじゃん」 「手伝おうって気持ちがかけらもないんですね」 「だってオレ、子供だぜ」 「だったら家出しても、グータラが減って清々するかも」 「オレだってあぶらあげを『ジュッ』ってやるんだぜ」 「それ……気分がいい時だけですよね」 「うえ……」 「本当、気分屋さんですね」 「だってオレ、子供だもん」 ふう、なんだか説教する気も失せました。 わたしを怒った目でジッと見ているポン吉。 でも、すぐにニコニコ顔になると、 「ここのごはん、すげーうまいから、ここに家出する事にしたんだぜ」 「それ、ミコちゃんに言ったら喜ぶよ、泊めてくれるよ」 「わーい!」 「そうだ、お泊りするなら、シロちゃんに接近するチャンスかも!」 「!!」 途端に耳まで真っ赤になるポン吉、わかり易いですね〜 「言われるまですっかり忘れてたぜ」 「ふふ、アタックするチャンスですよ」 「うう……ポン姉に感謝だぜ、オレ、今日、シロ姉に告白するぜ」 「まぁ、せいぜい頑張ってください」 そして夕飯……なんとポン吉、シロちゃんの隣に座りました。 「えへへ、ミコ姉のゴハン超うまい」 「あらあら、うれしいわ」 「えへへ、シロ姉、醤油を取って!」 「ポン吉、これにかけるでありますか?」 シロちゃん、ポン吉のホウレンソウのおひたしに醤油をかけてあげます。 おお、なんだかすごい仲がよく見えるの。 こ、これは! この調子でポン吉はシロちゃんに迫っちゃうのかもしれませんよ! 「ほっぺに醤油がついているであります」 シロちゃん、ハンカチ出してポン吉のほっぺを拭いたりしてます。 今までニコニコしているだけだったポン吉。 途端に真っ赤になっちゃうの。 それからのポン吉はグダグダでした。 お風呂はレッドとみどりと一緒に入ってたし…… TVはわたしと並んで見てたし…… ああ、そして今や、レッドとみどりと一緒のお布団に入っちゃいました。 って、レッドとみどりが寝息をたてた頃になってごそごそ起きて来ると、リビングを見回してから、 「ポン姉ポン姉、オレ、どうしたらいいと思う?」 「えっと、どうしたいんですか?」 「それは、シロ姉ともっと仲良くなりたいに決まってるじゃんか」 「じゃあ、シロちゃんの布団で一緒したらどーですか」 って、途端に頭上にキノコ雲をこさえるポン吉。わたしがニヤニヤして見ているのに気付くと、 「オレ、コン姉に相談して来る」 って、コンちゃんの部屋の方に行きました。 なんでコンちゃんの方に行くかな? シロちゃんの方に行くべきでしょ! 本当にダメな仔タヌキですね、まったくモウ。 pmy143p for web(pmc143p.txt/pmy143p.htm) pmy143p for web(pmy143p.jpg) NCP5(2015) (C)2008,2015 KAS/SHK illustration やまさきこうじ HP:やまさきさん家のがらくた箱 (pixiv:http://www.pixiv.net/member.php?id=813781) (C)2008,2015 KAS/SHK (C)2015 やまさきこうじ