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■  ポンと村おこし  第145話「コンちゃんの心変わり」          ■
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 今日ものんびりした時間が過ぎています。
 パン屋さんは「今」すごい平和。
 お客さんが二人、テーブルでお茶をしてお話をしています。
 コンちゃんは定位置でポヤンとしてますね。
 わたしも、レジでトレイやトングを拭きながらまったりしてるの。
 実はさっきまで、観光バスが来てて、ちょっと忙しかったんです。
 それももう行っちゃったから、一気に気が抜けちゃった感じですね。
 ふふふ、観光バスのおかげでパンはたくさん売れたんです。
 今日はもう、残り物の袋詰めはちょっとで済みそう。
 あんまり売れ残っちゃうと、袋詰めの作業が大変で……それに売れ残りがたくさんは心
もくじけます。
 あ、コンちゃんが呼んでますよ。
 なにかな?
「コンちゃん、どうしたんです?」
「お茶」
「むう、このナマケモノ〜」
「わらわ、お稲荷さまなのじゃ、お狐さまなのじゃ」
「ナマケモノですよ、全然動かないし」
 わたし、こんな事言っちゃってますが、そんなに怒ってないですよ。
 コンちゃんなんて、こんなものなんです。
 お茶、出さないとヘソを曲げて面倒だから、さっさとお茶を出しましょう。
 コンちゃんもさっきまで一緒に観光バスのお客さんと戦ったから、冷たいお茶がいいか
な。
「はい、麦茶」
「むう、わらわ、熱い方が良かったかの」
「そう」
 わたしがグラスを引っ込めようとしたら、すごい早さでグラス持って行かれちゃうの。
 半分くらいまで、「ゴキュゴキュ」いわせながら飲んじゃいます。
 喉、渇いてたんですね。
 コンちゃん、グラスを置くと、
「あ〜、熱い方がよかったのう〜」
「はいはい、今度は熱いのにしますよ」
「ふん」
 コンちゃん、わたしを見もしないで、グラスを口にしています。
 わたしも一服しちゃうんです。
 コンちゃんの斜めに座ると、
「観光バスが行っちゃうと、ホッとしますね」
「そうじゃのう〜」
 って、コンちゃん麦茶を飲みながら、
「しかしじゃ」
「しかし? なんです?」
「退屈なのじゃ」
「はぁ?」
「退屈なのじゃ」
「さっきまで忙しかったのに、今度は退屈なんて言うんですか!」
「ホッとしておるのは確かにそうなのじゃが……」
 わたし、テレビのチャンネルを操作しながら、
「テレビ見てたらいいじゃないですか!」
「テレビものう、見飽きたのう」
「このぐーたらキツネ」
「わらわは神ぞ、神を退屈させんようにせんかの」
「お散歩でも行ってきたら? 観光バス行っちゃったから、わたし一人でも大丈夫だよ」
「お散歩〜つまらん〜」
 もう、グダグダなんですね、まぁ、いつもグダグダなんですけど。
 わたしがチャンネルを変えていると、時代劇になりました。
 ちょんまげの男達がそろって……「半」「丁」賭けてます。
 って、コンちゃんの背筋がピンとしました。
「こ、これじゃ!」
「はぁ?」
「これなのじゃ! これ! これこれ!」
 テレビの中では「イカサマ」だの言ってケンカになってます。
 コンちゃんは目を輝かせて画面に見入ってるの。
「そう、ギャンブルなのじゃ、ギャンブル」
 わたし、コンちゃんをジト目で見るけれども、コンちゃん全然気付いてくれません。
 むう、ギャンブルはやめた方がいいですよ。
 きっとロクな事になりません。
「では、わらわ、行ってくるのじゃ!」
「えっ! どこへっ!」
「ここでギャンブルと言えば、麻雀なのじゃ」
「はぁ……」
「わらわ、学校に行ってくるのじゃ」
「な、なんで学校?」
「学校には髭教師や用務員がおるのじゃ、ラーメン屋には花屋の兄もおる」
 む……確かに面子、そろっちゃましたね。
 髭教師が暇とは思えませんが、シロちゃんや、花屋の娘がいるかもしれないし。
「行ってくるのじゃ!」
「はーい、いってらっしゃい」
 もう、こんな時のコンちゃんは止められません。
 ほっとくに限りますよ、ええ。

 夕ごはんの時間なの。
 テーブルにはハンバーグやサラダが大皿に積まれているんです。
 ミコちゃんがごはんをよそぎながら、
「コンちゃんはどうしたのかしら?」
「コンちゃんは学校に行ったきりですよ」
「学校……」
 ミコちゃんはつぶやいて、テーブルに着いているレッドとみどりを見ます。
「レッドちゃん、帰ってきてるんだけど?」
「別にレッドを迎えに行ったわけじゃないんですよ」
「何をしに学校へ?」
「麻雀」
「そう……」
 するとお店の方から足音が聞こえてきました。
 コンちゃんご帰宅のようです。
「いやー、ストレス発散したのじゃ、楽しかったのじゃ」
 一緒に帰って来たのはシロちゃんですよ。
「コンちゃん強かったであります」
「シロもなかなかであったのじゃ、2位だったのじゃ」
 どうもシロちゃんも一緒に遊んでいたようです。
「ほかには誰がいたんです?」
 わたしが聞くと、シロちゃんが、
「用務員と先生でありました」
「ふーん」
「明日も麻雀に行くのじゃ」
 コンちゃんニコニコしてるの。
 普段だったら夕ごはんの時はムスッとしていて、食後にお酒とおつまみでテレビしなが
ら時間を過ごすんです。
 でも、今日はよっぽど楽しかったんでしょうね、笑顔止まりません。
 わたし、シロちゃんに目で、
『むー、シロちゃん』 
『ポンちゃん、何でありますか?』
『コンちゃん、そんなに勝ったの?』
『ああ、それほどでもないであります』
『?』
『コンちゃん1番で本官2番でありますが、実はみんな僅差でありました』
『そうなんだ』
『でも、コンちゃんはうれしかったでありますよ』
『まぁ、1番なんだから、勝つには勝ったんでしょうしね』
 わたし、用務員と髭吉田先生を思い浮かべます。
『明日も行くって言ってるけど、大丈夫かな?』
『何がでありますか?』
『だって、吉田先生怒ってなかったです?』
『くやしそうではありましたが、それほどでありましたよ』
 コンちゃんはお酒も入ってご機嫌です。
『まぁ、コンちゃんが負けて不機嫌になるよりはいいかな〜』

 今日はまた、のんびりした日です。
 観光バスの予定もなくて、お客さんもまばらなの。
 コンちゃん……実はもうお出かけしてます。
 今頃学校の宿直室で麻雀をしている頃でしょう。
「ポンちゃん、ポンちゃん」
 ミコちゃんの声、なにかな?
「コンちゃんはどうしたの?」
「ミコちゃん……コンちゃんは今日も麻雀です」
「お店をサボって?」
「うーん、それはちょっと違うけど、配達から帰ってこない感じですね」
「あらあら、どうしましょ、私がお店に出る?」
「いいよ、ミコちゃん、別にお客さんそんなにいないし」
「もしも応援要る時は言ってね」
「はーい……うん?」
 わたし、奥に戻ろうとしているミコちゃんを捕まえて引き寄せます。
「ちょっとちょっと!」
「な、なに、ポンちゃん!」
「あれあれ!」
「うん?」
 パン屋の前の道を一台の赤い車が遠ざかっていきます。
「あの車にコンちゃんが乗ってました!」
「あの車……」
 ミコちゃん考える顔。
 わたし、知ってます、あの赤い車は……
「あの車は吉田先生の車です!」
「そうそう、吉田先生の車ね、あんまり乗ってないみたいだけど」
「あの車にコンちゃん乗ってました!」
 わたし、力説、でもミコちゃんは首を傾げます。
「もう遠くで見えないわね」
「乗ってたんですよ!」
「吉田先生の車にコンちゃんが乗ってても、別にいいじゃない」
 ミコちゃん、奥に引っ込んじゃいます。
 わたしはそう簡単に納得できません。
 髭教師吉田と見た目だけは美人なコンちゃん。
 美女と野獣の組み合わせです。
「ま、まさかコンちゃんが浮気とは……それも吉田先生なんかと!」
 コンちゃんと吉田先生とでは、全然つりあわないような気がします。

 そして……今日もまた、コンちゃんは麻雀に行っちゃうんです。
 わたし、スキップしながら行っちゃうコンちゃんを見送りながら、
「ミコちゃんミコちゃん、コンちゃんが行っちゃった」
「あらあら、また遊びに行ったの? 仕事もしないで」
「仕事をしないのなんて『いつも』の事なんです」
「そ、それはそうね」
「また麻雀で、きっと吉田先生のところなんですよ!」
「それが……どうしたの?」
「吉田先生ですよ、吉田先生!」
「それは学校に吉田先生いるわよ、あとは用務員さんとか」
 ミコちゃんはわかってませんね。
 わたし、ミコちゃんをつかまえてゆするの。
「いいですか、昨日コンちゃんは吉田先生とデートしてたんですよ」
「それって本当なの、他人のそら似じゃないの?」
「いーや、昨日帰ってきて一緒にお風呂したからわかるんです」
「?」
「コンちゃんの服から吉田先生のニオイがしたんです、タバコのニオイも」
「まぁ、吉田先生と麻雀したら先生のニオイもタバコのニオイも付いちゃうんじゃないか
しら」
 と、ミニスカポリスが帰ってきました。
「シロちゃん!」
「ポンちゃん、なんでありますか?」
「コンちゃんが浮気に行きました?」
「はぁ?」
「今、学校に!」
「今日も麻雀でありますか……花屋の娘やイケメンが学校にいたであります」
「違うんですよ、吉田先生とコンちゃん、できてるんですよっっ!」
 と、シロちゃんの表情が厳しくなりました。
「ポンちゃんはコンちゃんと吉田先生ができていると言うでありますか?」
「昨日見たんですよ! 一緒に車でお出かけするのを!」
「ふむ……」
 腕組して考える顔のシロちゃん。
「そう言えば、昨日は麻雀はなかったであります」
「え! そうなの! お風呂に入った時、コンちゃんからタバコのニオイが!」
「コンちゃんはタバコ嫌いでありますね……それに車に同乗していたのは本官も見たであ
ります」
 シロちゃんが言うのに、ミコちゃん首を傾げながら、
「コンちゃんが吉田先生と……まぁ、美女と野獣ってあるし」
 シロちゃん、小さく頷きながら、
「本官の歩いている前を、二人は楽しそうに話しながら行ってしまったであります」
 シロちゃん、目を閉じて、コクコク頷いて、
「麻雀の時も、勝った負けたにかかわらず、仲が良いように思えたであります」
「ほら! やっぱり! コンちゃん浮気!」
「むう……」
 シロちゃん、すごい真剣に考える顔。
 今度は店長さんが帰ってきました。
「お、どうしたの、みんなして」
「店長さん……」
 わたし、店長さんに言っていいか、迷いました。
 でも、シロちゃんは躊躇なしに、
「コンちゃんと吉田先生がデートに行ったでありますよ」
「え? コンちゃんと吉田先生がデート?」
 店長さん、びっくりした顔になってます。
 わたし、店長さんの腕をゆすって、
「二人して車に乗ってお出かけなんです! 楽しそうに!」
 わたしの言葉に店長さん一瞬は真顔になりました。
 でも、すぐに笑顔が戻ると、
「コンちゃん楽しそうにしてたんだ」
「ええ! すごく! 昨日のお風呂でもニコニコでした!」
「それじゃ、コンちゃんと吉田先生を尾行してみようか」
「「「!」」」
 めずらしく店長さん積極的です。
 わたしとシロちゃん・ミコちゃんびっくりなの。
 店長さん、楽しそうに、
「もしコンちゃんが浮気してたら、どうしたらいいかな?」
 わたし、コンちゃんは店長さんスキーと思っていました。
 吉田先生とカップルなんて、想像もできません。
 今だって、一緒に楽しくお出かけなんて、驚いているくらいなのに。
「店長さんは、コンちゃんが浮気してたらどうするんです?」
「え? 俺? コンちゃんと吉田先生? 結婚したらいいのに」
 店長さんニコニコ顔で言います。
 でも、すごい剣幕でミコちゃんが割り込んで来ました。
「店長さん、なんて事言うんですかっ!」
「え? ミコちゃん? どうかした?」
「吉田先生は結婚してるんですよっ!」
「えー!」
「えー!」はわたしです。
「吉田先生って結婚してたんですかっ!」
「そうよ、知らなかったの?」
「あ、あの髭おやじが……」
 人は見かけによらないようですね。
 店長さんはニコニコしていて、
「それは知らなかったよ、でも、俺、コンちゃんと吉田先生結構お似合いと思うけどな」
「それは美女と野獣でいいかもしれないけど、吉田先生家族いるんだから、不幸になっちゃ
うでしょ」
「とはいっても……」
 店長さん、そこまで言ってから、
「いやいや、まぁ、ともかく尾行したらわかるよ、コンちゃんと吉田先生の関係」
「「「?」」」
 店長さんはわかってるみたいだけど、わたし・ミコちゃん・シロちゃんは首をかしげちゃ
うの。
 ともかく二人を尾行ですよ。

 めったに動かさないけど、配達用の車で山を降ります。
「店長さんは二人の行き先、知ってますよね」
「まぁ、多分、だけどね」
 尾行にはシロちゃんも同行してるんですが、
「本官、店長さんの推理の理由、知りたいであります」
「いや、推理もなにも、吉田先生ギャンブラーじゃん」
「「?」」
「二人はきっとパチンコ屋だよ」
 わたし、緊張MAXです!
「ぱぱぱぱちんこ屋っ!」
「ポンちゃんどうしたの?」
「ぱぱぱぱちんこ屋っ!」
「ポンちゃん何ビビッてるの?」
「な、七つの傷の男が住んでいるところですっっ!」
 車が大きく蛇行するの。
 店長さんびっくりして、ハンドルついついやっちゃったみたいです。
 田舎で車が少なくてよかったですよ。
 シロちゃんムスッとした顔で、
「切符を切るでありますよ、店長さん」
「ゴメンごめん、そっか、ポンちゃんそうだったよね」
 わたし、店長さんの運転よりも「七つの傷の男」ですよ。
 指で一突き、爆発しちゃうんですから。
「て、店長さん、そんなおそろしいところにどうして行くんですかっ!」
 店長さんは振るえ、シロちゃんもうずくまってプルプルしてます。
 ああ、パチンコ屋らしい建物が見えてきました。
 派手派手な電飾(?)に広い駐車場にはたくさんの車。
「ど、どうしておそろしいところに、こんなに人が集るのでしょう!」
 パン屋さんにだって、こんなに人が集る事はないですよ。
 ああ、あの建物の中はどうなってるんでしょう。
 わたしがガクブル震えていると、
「パチンコ屋は、ポンちゃんが思っているような所じゃないよ」
「だって七つの傷の男が!」
 シロちゃん、体を起こすと……涙目になってます。
「ポンちゃんはパチンコ屋を知らないでありますか?」
「う、うん、七つの傷の男がいる以外は」
「それなら、パチンコ屋は『かぶき者』もいるであります」
「あ、それ、知ってます、あれ? 同居してるんですか?」
「七つの傷の男」と「かぶき者」の共通点は「闘う男」ってところでしょうか?
「するとあそこは『コロシアム』?」
 ふむ、コロシアム……すると、
「『魁な塾』とかもありますか?」
 店長さん噴き出して、シロちゃんも腹を抱えて笑ってます。
「「ピンポーン」」
 二人して言うの。
 店長さん笑ってるんだか泣いてるんだか……わたしとシロちゃんを見て、
「まぁ、俺も中坊の頃、小使い稼ぎで出入りしてたから、いいか、タヌキと犬だし」
 店長さん、わたしの手を引いてパチンコ屋へ。
 手を繋いでくれるのは嬉しいけど、あの巨大な建物に入るのはこわい!
「ヒデプ」もこわいし「戦国時代」も嫌だし「アツい漢」もいらないです。
 逃げたくても、シロちゃんが背中を押すんですよ。
 ああ、自動ドアが開きました。
 すごい音です!
 もう、覚悟を決めるしか!
 店長さんも、シロちゃんもいるし!

「なんですか、ココ?」
「だからパチンコ屋」
「……」
 みんな、壁に向かって……なにかあるみたいだけど、テレビゲームじゃないみたいです。
 でも、その「何か」に向かって真剣になってますよ。
 シロちゃんが
「あっちがパチンコであります」
 ポンポン銀の玉を打ち出すのがパチンコですね。
 パチンコ屋なのでたくさんあります。
 ルールはさっぱりですけどね。
 中に画面があって、あ、知ったマンガのキャラが動いています。
「こっちがスロットであります」
 あ、こっちは知ってます。
 数字をそろえるとお金が出るギャンブルですね。
「店長さん、七つの傷の男がいるって話でしたけど」
「たくさんいるよね」
「そーゆーことだったんですか……」
 店長さんがいつも笑っていたのが、ようやくわかりましたよ。
 早く教えてくれたらよかったのに。
「うん、でもでも、おそろしいって話し、してませんでしたっけ?」
 そうそう、スーパーマーケットにお買い物の時(86話)に確か……
「飲み込まれるとか言っていませんでしたっけ?」
 わたしが店長さんに言うと、店長さんとシロちゃん、真顔でわたしの方を指差すの。
 わたしを指差しているわけじゃなくて……
 振り向くとコンちゃんと吉田先生が真っ白になっているの。
「コンちゃん、吉田先生、大丈夫ですか?」
illustration やまさきこうじ
 二人とも、真っ白になってます。
 店長さんニコニコ顔で、
「飲まれたんだよ」
 シロちゃんが、
「すっからかんであります」
 店長さん、吉田先生の肩をゆすりながら、
「吉田先生が負けるなんてめずらしいな……ほら、起きて起きて」
 吉田先生、色が戻ってきました。
「くそっ! どーなってやがるんだ、チッ!」
 復活の一言目、すごい悔しかったみたいですね。
 シロちゃんがコンちゃんをゆすっていると……復活しました。
「うわーん、何故じゃ、何故玉が出んのじゃ!」
 泣いてます、かなーり悔しかったみたいです。
 吉田先生が財布を出しました。
「コンちゃんよう、負けたままじゃいられないよな!」
「髭教師よ、軍資金を出すのじゃ!」
 まだ続けるみたいです。
 って、店長さん呆れた笑みを浮かべながら、
「先生もコンちゃんも、おそば食べて帰りましょう、ミコちゃんがみんなの夕飯作って待っ
てるから、ね」
 店長さん、お札を握った吉田先生の手をつかまえて離さないの。
 店長さんの顔を見ているうちに、吉田先生もコンちゃんも冷めてくれたみたい。
「むう、パン屋が言うならしょうがないかな」
「うむ、わらわも店長が言うのであれば、したがうのじゃ」
 二人はムスッとした顔で立ち上がって行っちゃうの。
 わたし、店長さんに
「ねぇねぇ、ゴハン準備しているのに、なんでおそば食べて帰るんでしょ?」
 店長さん苦笑いしながら、
「リセットするのに必要なんだよ」
 なんなんでしょうね?


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