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■  ポンと村おこし  第148話「ダムは今」                ■
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「ポンちゃんポンちゃん!」
 ミコちゃんがやってきました。
 なにかな?
「配達に行って欲しいんだけど」
「老人ホーム? 学校? ラーメン屋さん?」
「工事現場」
「おお! 工事現場! 久しぶりですね」
「でしょ、ドラ焼きを持っていってね」
「はーい……って、場所は一緒かな?」
「うん、事務所は一緒のはずよ」
「イノシシの時に行ったかな〜」(40話)
 わたし、ミコちゃんからバスケットを受け取ると、
「でもでも、お店はコンちゃんだけなんだけど」
「いいわよ、わたしも手が空いているから」
「はて、わたしじゃなくてミコちゃんが行ってもいいんじゃないの?」
「うーん、私も台所とか片付けながら、店番するつもりだし」
「じゃあ、わたししか、ですね」
「うん、ちょっとお散歩してきて」
「はーい」
 久しぶりに工事現場に行く事になりました。

 事務所には現場監督さんだけです。
「配達に来ました〜」
「ポンちゃんいらっしゃい!」
「現場監督さん、ひさしぶりです」
「おう、最近はラーメン屋かそば屋が多いからなぁ」
「むう、パンはダメですか?」
「力仕事だから、パンはちょっと弱いかなぁ〜」
 わたしがバスケットからドラ焼きを出すと、現場監督さんお茶を二つ出しながら、
「せっかくだから、ちょっとお茶でも」
「うーん、ですね、ゴチになりまーす」
「ちょっと見て欲しいモノもあるしね」
「見て欲しいモノ?」
 近くの椅子に座ると、お茶をいただきながら首を傾げます。
 現場監督さん、窓を開けながら、
「ほら、ここのダムは噴火でダメになったろう」
「ですね……それがどうしたんですか?」
「今はこんな感じ」
「!」
 窓の外は、真っ黒な地面が広がっているの。
 ダムを作る予定のところに、溶岩がたまっているはずだったんです。
 それが真っ黒な地面がずっと広がっている……うーん、湖の湖面みたいな感じなんです
が、ともかく真っ黒。
「これって、噴火で溜まった溶岩なんですよね?」
「うん、ダムで溶岩を止めて、それが冷えて固まって、こんな感じ」
「広いですね」
「ダムになっていたら、水が溜まっていたんだけどね」
 わたしと現場監督さん、一緒になって溶岩を見つめます。
「これを見て? どうしろと?」
「うーん、村長さんにね」
「村長さんに?」
「ダムがダメになったんで、ちょっとお金ができたらしいんだ」
「はぁ」
「で、このダムになる筈だった所に何かできないか〜って」
「はぁ」
 わたし、生返事するしか。
「なにか……ですか」
「うん、お金ができたって言っても、多分そんなにはね」
「わたし、お金の事を言われても、パンの値段とかそんなのしか」
「うん、だから何でもいいからアイデアないかな〜って」
 溶岩の固まった、真っ黒な地面が広がっています。
 うーん、広いけど……
「広すぎて、わかりません!」
「ああ、ポンちゃんも無理かー」
「ほかに誰かに聞いてみたんですか?」
「目の細い兄ちゃん」
「ああ、配達人」
「そう、ここにも来るから、ちょっとね」
「職人さんなんかには聞いてみたんですか?」
「ダメだ、あいつら、呑んで騒いで……俺も若い頃はそうだったけど」
「むう〜 村長さんは何か言ってませんでした?」
「遊園地」
「あ、いいですね、遊園地、漫画なんかで見た事ありますよ」
「ポンちゃん知ってるの? 遊園地って?」
「コーヒーカップに観覧車、メリーゴーラウンドにジェットコースター」
「テレビでも見た?」
「えへへ、ですね」
 現場監督さん、ため息をついてから、
「で、お客、来ると思う?」
「う……」
 そりゃあ、村には観光バスも来るし、普通にドライブがてらに来る人もいるんです。
 ぽんた王国のお豆腐は人気あるし、なんたって神社のヌシが美肌を呼ぶんですよ。
「で、人、来ると思う?」
「うう……」
「ポンちゃんも、なんとなーくわかるよね」
「あれって、お客さんがたくさん来ないとダメなんですよね?」
「だね」
「こんな山の中まで、そんなにたくさん人が来るかなぁ〜」
 って、現場監督さん、机に向かってパソコンを操作。
 わたしを手招きしてます……なにか見せたいみたい。
「ほらほら、こんなのあるんだよ」
「!」
 画面には遊園地の動画です。
 それも、なんだか小さな遊園地。
 ジェットコースターとか、「パッ」と見へすごそうだけど…よーく風景と見比べると、
小さいジェットコースターです。
「なんだか……子供向け?」
「そうなんだよ、他にもこんなのとか」
「あ、デパートの屋上ですね」
「そうそう、屋上遊園地」
「ちっさいですね〜」
 でもでも、みんな楽しそうですよ。
「これはこれで、いいんじゃないですか?」
 わたしは賛成です。
 でも、現場監督さん首を横に振って、
「これだけ広いのに『チョコン』とコンパクトな遊園地があってもなぁ〜」
「ああ、それはちょっとわかるかも……」

 夕飯の時なんですけど……
「現場監督さんと、そんな事を話してきたんですよ」
「ふーん」
 店長さんはおかずに箸をのばしながら、
「ダムができたら、釣りにでもって思ってたんだけどなぁ」
「釣りなら川じゃダメなんです?」
「川でもいいけど、でっかいダムでのーんびりって感じで」
「川で釣ってものんびりじゃないです?」
「そうかな? ヤマメとか結構シビアだよ」
「ダムだったらどうなんです?」
「フナとかコイかなぁ」
「ああ、わたし、そば屋の娘をやってるときに釣りました」
 店長さん、ごはんを口に運びながら、
「ヤマメってさ、釣る時っておかずを獲りに行ってるわけで」
「コイとかフナはおかずじゃないんです?」
「フナもコイも食べるといえば食べるけどね」
「で、ですね、店長さん」
「何?」
「ともかく現場監督さんにアイデア募集されちゃったんです」
「むう……俺はパンの事ばっかりで、ダムの事はちょっとね」
「そうですか……どうしましょ」
 店長さん、テーブルを見回して、レッドで目が止まります。
「レッドを連れて行くとよくないかな、ちょっと散歩がてら、行ってくるといいよ」
「レッドを連れてですか〜」
 そんなわけで、レッドとデートですかね。

 さーて、レッドとデートです。
 左手にお弁当のバスケット。
 右手は空いているんですが…
「ポン姉とデート!」
 レッドさんはしっぽをつかんで放さないですね。
 まぁ、なんとなく今日はいいかなって感じです。
 レッドをしっぽに、デートに出発なの。
「どこにおさんぽゆえ?」
「工事現場ですよ」
「おお、いったことなし」
「ふうん、レッドは探検とかしないんですか?」
「ぽんきちといっしょにしますよ」
「でも、行った事ないんですね」
「ゆえゆえ〜」
「ダムは知ってますか?」
「さあ?」
 でしたね、レッドがパン屋さんに来たのは、ダムが溶岩だらけになってからでした。
「だむとはなに?」
「ダムは……大きなお池ですよ」
「おお、じんじゃのぬしのおうちですな」
「あれよりずっと大きいですよ」
 なんて、ちょっとお話している間に、事務所に到着です。
「おお、ポンちゃん、レッドも、来たなぁ」
「わーい、げんばかんとく〜」
「今日はレッドを連れてきました、名案出ますよ」
「おお、子供の意見か〜」
 と、現場監督さん、何かを思い出したように事務所にダッシュ。
 すぐに戻って来ると、レッドに黄色いヘルメット。
「ほら、これで今日は職人さんだ」
「わーい、へるめっとー」
「よーし、探検行くぞー」
「わーい」
 現場監督さんとレッド、ハイテンションですね。
「あの、わたし、いらん娘じゃないでしょうか?」
「まぁまぁ、ポンちゃんも一緒に行こうぜ、ポンちゃんから名案出るかもしれないしな」
 現場監督さん、わたしの頭にもヘルメットかぶせるの。
 むう、これはご一緒するしかないみたいですね。
 
 いざ、溶岩だらけの所に行って見ると……
 結構でこぼこで、大変です!
 この間、事務所から見た時は真っ黒で、てっきり「平ら」って思っていたけど、ぜんぜ
んなの。
「ちょ、ちょっと、現場監督さん、大変ですよ」
「そりゃ、溶岩が流れた後だからな」
「わたし、てっきり真っ平らだと思ってました」
「遠くから見たらなぁ〜」
 レッドが上がれないような段差は現場監督さんが抱え上げてくれるの。
 わたしが上がれないようなのはないですが、よじ登る事はありますよ。
「これを均して遊園地はちょっとなぁ」
「わたし、工事の事はよくわからないけど、大変なのはなんとなーくわかります」
「わかってもらえてうれしいよ」
 ああ、レッド転んじゃいました。
「大丈夫ですか!」
「あいたた」
「ほらー、すりむいちゃいましたよ」
「あれれ、ちがでてまする〜」
 レッド、泣きませんね。
 転んだらすぐに泣いちゃう事あるんですけど。
「ほらほら、ちょっとちょっと〜」
 こんな事もあろうかと、絆創膏くらい持ってきてるんですよ。
 ぺたっと貼って、終了です。
「でこぼこなんだから、気をつけてくださいよ〜」
「なんだか、ちょーたのしいゆえ!」
「そうですか〜?」
 わたしは全然楽しくないんですけどね。
 メイド服で冒険なんて、ちょっと予想外でした。
 って、目の前に「駐車場」、ちゃんと「舗装」してあるの。
 見慣れた車が留まっていて、目の細い配達人がバーベキューしています。
「ああ、やっと来た、遅い〜」
「配達人、何してるんですか!」
「現場監督さんに言われて、バーベキューの準備とか」
 わたし、現場監督さんをにらみます。
「いや、ちょっと楽しい思い出でもってね」
 言いながら、早速ビールを開けてます。
 誰の楽しい思い出ですかね。
 わたし、現場監督の腕をつねりながら、
「この駐車場は何ですか?」
「い、痛いよ、ポンちゃん」
「道、あるなら、あんな所、通らないといいのに」
「いやいや、レッド楽しそうだったし」
「それもそうですね」
 レッド、もうバーベキューの串を手にご満悦。
 わたしもお弁当のバスケットを広げるとしましょう。
「なんだ、ポンちゃんお弁当持ってるじゃん」
「配達人は現場監督さんに言われたんですよね」
「あと、ミコちゃんにも言われたんだよ」
「ミコちゃんも知ってるなら〜」
 って、バスケットの中身は……おにぎりとバナナと氷砂糖、お茶です。
「なんだかバーベキューに負けてますね、こっちのお弁当」
「あ、でも、おにぎりは聞いてたから、俺、持ってきてないよ」
「なら、ちょうどいいですかね」
 わたしもごはん、いただきましょう。
 バーベキュー、久しぶり、超楽しいです。
「しかし、現場監督さん」
「何? ポンちゃん?」
「この駐車場は何ですか?」
「ああ、最初は現場の人間の駐車場にって……でも、ちょっと事務所から離れてるだろ」
「ですね」
「不評でさ、で、舗装して見た目をよくして、観光用」
「観光って言っても、何もないじゃないですか」
「そうなんだけどね」
 見回せば、屋根のある休憩所なんかもあるけど……配達人の車しかないですよ。
「オートキャンプとかで、人が来ないかな〜って」
「村からも離れてるし、どうなんでしょうね」
「やっぱりダメかなぁ〜」
 現場監督さん、伸びをしながら缶ビールをグビグビ。
 もう、働く気、ゼロですね。
「配達人は、何かアイデアないですか?」
「あ、俺、ミコちゃんから聞いてるよ、アイデアだろ」
 その時です、地面が揺れて……地震です、地震。
 テーブルに置いた缶ビールが落ちたりしました。
 緊張が走ります。
 周囲が一気に湯気で包まれるの。
「コラー!」
「!」
「タヌキ娘ー!」
「ま、まさか、温泉の神さま!」
「そうじゃー!」
 湯気が集って、温泉の神さまの姿になるの。
「何故、レッドを連れて来ぬのじゃー!」
「家のお風呂あるし」
「温泉の方が広いのじゃ!」
「面倒くさいし」
 あ、温泉の神さま、ふくれてます。
 温泉に行くのが「面倒」なのも、ちょっとはあります。
 でも、広いお風呂は最高なの。
 でーもー、この神さまがイチイチ現れるのが「面倒くさい」んです。
「ほら、レッド居ますよ、遊んでやってください」
「そうじゃの、レッドがおるから、遊ぶかの」
 レッドも神さまの登場にハイテンション。
「あのあの、神さま」
「なんじゃ! タヌキ娘!」
「なんでここにいるんですか!」
「うむ、儂はもともと地の神なのじゃ」
「……噴火していたのは神さまでしたね」
「そうなのじゃ、この辺りは儂の縄張りなのじゃ」
「ふむ〜」
「地に水が流れておる、さすれば儂も登場なのじゃ!」
 神さま、レッドを背中に乗せると、
「儂は忙しい、話は後なのじゃ!」
「あー! 行っちゃいました」
 今日のジェットコースターは狭い温泉と違ってすごそうですよ。
「って、二人とも、驚いてませんね」
「ああ、俺、温泉で一度会ってるし、CGの神さま」
 配達人は事もなげです。
 ですね、配達人は85話で神さまに会ってますね。
 現場監督を見たら、
「俺、骨が折れた時に会った」
「でしたね」
 そうそう、現場監督さんは114話で神さまに治してもらったんですよ。
「なんだか反応薄くてつまりませんね」
「CGじゃん、あれ」
「配達人さん、あれは本物なんですよ」
「アニメや映画でよく見るよ、CGって言うんだよ」
「もう、CGでもなんでもいいですよ」
 あ、さっき神さま登場で忘れてました。
「ねぇねぇ、配達人さんは、なにかアイデアあるんじゃないんですか?」
「アイデアだよね」
 配達人、わたしのバスケットからおにぎりを取り出しながら、
「俺はなーんにもしない方がいいと思うんだ」
「え? どうしてです?」
「だって、ここ、なにもないじゃん」
「だからアイデアでしょー!」
「でもでも、小鳥はさえずり、神さまは飛び回り」
 温泉の神さま、レッドを乗せてジェットコースター状態なの。
 あれに乗ったら、普通のジェットコースターはつまらないような気がします。
「遊園地作ってもずっと続けるのはたいへんだし〜」
「でも、わたし、遊園地で店長さんとデートしたいし〜」
「そんなの街まで行けばいいじゃん」
「むう、近所なら毎日デートですよ」
「店長さん災難だな〜」
「た・た・き・ま・す・よ!」
「こ・わーい!」
「えいえいっ!」
 配達人をポカポカ叩いちゃうんですよ。
 まったくもう、いつも茶化した返事ばかりです。
「俺は麓の、街からこっちに仕事で来てるけどさ」
「……」
「街にいると、こっちの暮らしもいいよな〜とか思うよ」
「田舎ですよ〜」
「そこがいいんだよ」
 配達人、ニコニコ顔で、
「今日はテントを持ってきたから、ここでお泊りしたらいいよ」
「むう、ダンボールでないなら、いいかなぁ」
「あ、ダンボール、持ってくればよかった!」
「そうそう、わたし、タヌキだから、ダンボールとか狭いの、好きな……」
 わたし、ついつい言っちゃいそうになりました。
 配達人をポカポカ叩くんです。
 配達人、笑ってますよ。
 まったくモウ!

 夜になりました。
 今日はここでお泊り、テントを張ってお休みです。
 夕飯終わって温泉に行って、そこでみどりやコンちゃんとも合流です。
「しょうがないわね、一緒に行ってあげるわよっ!」
 みどり、ツンツンして言います。
 来なくてもいいんだけど。
「わらわも行くかのう」
 コンちゃん、温泉からついて来ちゃったけど、
「ねぇねぇ、コンちゃん」
「なんじゃ」
「お泊りするテント、何もないですよ」
「それがどうかしたのかの?」
「お外でお泊りってだけですよ」
「そんな事はないのじゃ、話はミコから聞いておるのじゃ」
「いや、本当に何もないんですってば」
 でも、テントに戻ってみると、隣にもう一つテントが建ってます。
 中からジャラジャラ牌の音。
「わらわは徹夜マージャンなのじゃ」
「明日も店番あるんだけど」
「ポンがおるので大丈夫なのじゃ!」
「むー」
 お隣のテントが開くと、配達人が出てきます。
「あ、コンちゃんお帰り、待ってたよ〜」
「おお、配達人なのじゃ、何を待っておったのかの?」
「代わりに打ってたから」
 配達人が言うと、テントから吉田先生・帽子男・保健の先生が顔を出すの。
「「「コンちゃん待ってたぜー」」」
 わたし思うんですけど、この3人も明日仕事ですよね?
 いやいや、ちょっと待った!
「あ、あのっ!」
 わたし、配達人をゆすりまくりです。
「配達人はまさか一緒に寝るんじゃないでしょうね!」
「いや、俺、仕事あるから帰るし」
「な、ならいいですけど」
 でもでも、だんだん暗くなっていきます。
 お陽さまが山に隠れると、すぐに暗くなっちゃうの。
 夜空は星でいっぱいです。
「俺はこれだけ星が見れるなら、余計な事はしない方がいいと思うんだけどなぁ」
「はぁ? 星?」
 配達人が言うのに、レッドとみどりは見上げてはしゃいでます。
 でも、わたしはどうしても「そんな気持ち」になれません。
「いや、星が綺麗だよね」
「なに、星、そんなの夜になったら見えるんですよ」
「えー!」
「だってわたしにとってこの星空は『ダンボールでお休み』なんだからっ!」
「ぷっ!」
 笑う配達人、麻雀テントも一瞬大きく揺れましたよ。
 コンちゃん顔を出して、
「これ、ポン、わらわも心がくじける、余計な事を言うでない」
「だって配達人が星空とか言うから〜!」
「この男、顔にも似合わん事を言うのう」
 吉田先生・帽子男・保健の先生も顔を出して、空を見上げます。
「おお、星がたくさんだな、田舎〜」
「ここ、田舎だしな〜」
「うわ、すごいわね、田舎ね〜」
 3人は田舎いかな言いますね。
 確かに田舎ですが。
 わたし、配達人をチョップして、
「大体配達人が顔に似合わない事を言うからですよ!」
「ポンちゃん痛いよ、せっかくお土産持ってきたのに」
「お土産?」
「ほら!」
 配達人、箱で持ってきたのは「花火」。
「あ、知ってますよ、花火!」
「ポンちゃんやった事あるんだ」
「いいえ、千代ちゃんがやってるのを、わたしがタヌキだった頃」
 配達人、レッドやみどりに花火を渡しながら、
「でもでも、楽しいのはわかりますよ」
「はい、ポンちゃんも」
 配達人、わたしには袋ごとくれました。
 って、麻雀組もぞろぞろ出てきましたよ。
「おお、俺も童心に戻ろうかな〜」
「俺にも一つくれよ」
「私も派手なのがいいわね」
 レッドとみどり、花火を見て首をかしげてます。
「ポン姉、これはなにゆえ?」
「ほら、一緒にやりますよー、バチバチしてこわいですよー」
「わ、ワタシも一緒にしてあげるんだからねっ!」
「みどりもびっくりしないでよ〜」
 レッドとみどりの花火に火がつきます。
illustration やまさきこうじ
 最初はびっくりしていた二人ですが、慣れてきたらニコニコです。

 花火は楽しいけど……
 やっぱりテントの周りは真っ暗なの……
 田舎ですね、田舎……


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